とある金物屋の一日。

-とある日の金物屋業務-

遠方の工務店さんから、小さな家具用のツマミ、100個をご注文頂いた。
昔からあるツマミで、現在は生産していない在庫限りの商品である。
(もしくは大量ロットで工場に注文しないといけない)

小さなツマミは、最近では回転が悪い上に、他のデザインの商品も残っているので、
100個売れたからといって工場に千個単位で在庫していたら会社が回らなくなる。

会社の在庫は箱に残っているので数十個程のようだ。

そんな事で工場に在庫が残っていないかと確認していたら、裏ビス式なら200個程度有るとの事。

裏ビスタイプでも良いでしょうか?とお客様に聞くと、先のお客様に確認を取って貰いOKを頂いた。

今回は間に合いそうだ、と思って手配を掛けて届いたら思っていたモノと違う・・・。

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左:送られてきた製品 右:既製品

 

 

 

 

 

 

 

しまった・・・。昔のモノと今のものでは仕様が異なる、という事か。かといって一から作り直していたら納期に間に合わない。

どうしよう と、もう一度在庫を確認してみる。すると奇跡的に在庫が丁度100個あった。(最初から確認しておけよ)

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こちらは昔からある糸ネジタイプ。※プチ情報参照

これを金メッキすれば、希望の商品となるが、糸ネジタイプでも問題ないか、お客様に確認してみる。

しかし、お客様も先にお客様に裏ビスに変更して頂く許可を取って貰っているので、変更はできないとの事。

これ以上、お客様にご迷惑をお掛けする訳にはいかないので、こちらで何とかしなければ。

 

-ツマミのプチ情報-

裏ビス式というのは、現在の家具金物業界ではメジャーな取り付け方式です。
昔は糸ネジという形で、ツマミ本体にネジ穴を空けて、寸切りボルトを埋め込みナットで閉める方式でした。
※図参照
「糸ネジ」のメリットは、長いボルトがついているので、ある程度の戸厚まで対応できる事。
デメリットとしては、その都度ボルトカッター等で切らないといけない事。(取り付けが面倒くさい)
それに対し、現在の家具ツマミの主流である「裏ビス」は同じくツマミ本体に穴が開いているのですが、
後ろからドライバーだけで締まる簡単取り付けがメリット。
デメリットとしては、戸厚にあわせてビス長さを合わせないといけないと言う事です。
戸厚が23ミリ、ツマミに入るビスの長さが3ミリの場合、通常、M4×25等のトラスビスを利用して裏から止めて、ツマミ部分には2ミリ入り締め付けます。
皆様も、ご自宅の食器棚の取手の裏を見て頂いたら、どちらかが使われています。
どちらも一長一短ありますが、糸ネジが淘汰されてきたという事は、裏ビスが良いと言う事でしょう。
糸ネジタイプ
糸ネジタイプ
裏ビスタイプ
裏ビスタイプ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題。

何とかツマミ部分は用意できる事になったが、糸ネジと裏ビスタイプの問題を解決しなければ。

最大の難関はビスの規格が違う事。ビスの規格が違うと機能しません。

現在100個あるツマミの糸ネジ規格はISOのM3。

付いている寸切りボルトを外したまでは問題なくいったが、問題は対応するビスがあるかどうか。

ISOのM3という限りなくマイナーな規格に対応している裏ビスを探すも大苦戦。

更に戸厚が20ミリでツマミが入る部分が3ミリという事は20ミリでは短すぎて25ミリでは長すぎるので使えない。

やっとの事で22ミリという規格を発見したが、M3×22という規格である。

沢山種類があるM4では使えない。

そこで、次の一手、螺子を切りなおす事に決めた。螺子を切るというのはビスに合わせて螺子山を変えるという事だ。

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タップダイスという器具を用いる。

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こうやってISO M3だったものをメートル螺子のM3に切り替える。

(M4にするには穴を4ミリに開けなおす必要があるので、手作業ではしんどい)

 

箪笥ツマミ

 

 

 

 

 

 

あくせくと。

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100個完成。手に軽く豆ができた。

後はこれをメッキに回し、ビスを取り付けるだけなので何とか間に合いそうだ。

こうして慣れない仕事を終えて、無事納品できたので一安心。

 

金メッキを掛けたツマミ
金メッキを掛けたツマミ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新たに仕入れたツマミのロスはあったが、諸々勉強になった。

 

家具つまみ ハンドル
家具つまみ ハンドル

 

 

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