金物のCHOBEYを運営する京都河長は「全国家具金物卸商工会」という団体に所属しております。
家具金物卸業の団体自体が存在する事が稀有ですが、全国に十数社しかない中の1社として毎年、交流会等に参加させて頂いております。
そんな家具金物卸という言葉ですが、現在はメーカー直接の販売すらスタンダードになっていますが、情報含め、インフラが発達していなかった時期で卸売業が卸売業としての存在を果たしていました。
高度成長最盛期、バブル経済の頃、河長が何を卸売りしてきたか?と聞かれたら「取っ手や蝶番等、箪笥の金物です」と答えます。
上記団体も、古き良き時代に主に「箪笥金具」を主とした商品を卸売していた団体になります。
最近では桐箪笥等の和箪笥が少なくなり、洋箪笥やクローゼットの様に箪笥を持たない文化になりつつあるので、箪笥金物の需要自体が減っている残念な状況ではございます。
しかし、その存在は日本の美意識の元、確かな技術と洗練された意匠によって作られた箪笥は、現代に於いてもインテリアアイテムとして充分に通用する存在であると言えます。
また、取っ手をつける事で、何気ない空間が一気に和風になったり、まるでそこに引き出しがあるかのような錯覚に陥るのも、取っ手の存在感が物質以上の価値を持っているからだと言えるでしょう。
※祗園襖引き手ギャラリー京烏に展示してあります。
ここで突然ですがクイズです。
箪笥の取っ手のこの様な形を「かん」と呼びます。
「かん」には大きく分けて2つの種類があります。
さて、この下記2つの「かん」の大きな違いは何でしょう?
写真では分かりにくいかもしれませんが・・・。
答えは〔ネジ足〕と〔割り足〕の違いです。
なーんだ、大した事じゃないじゃん、と思われるかも知れません。
しかし、小さな事が積み重なると結構な違いになったりします。
ネジ足は頑丈ですが、無骨になります。
割り足は繊細ですが、強度が物足りないので、引き出しの大きさが限られてきます。
箪笥全体に占める取っ手のウェイト、先にも述べた通り、物質以上の価値があるので決して少なくはありません。
そういった部分も箪笥を作る職人さん(昔の職人さんはデザインも自分でしていたので作品ですね)の拘りである事を踏まえて箪笥をご覧頂ければ、面白いのではないかと思います。
→ 箪笥の金物を探す